バレンタイン広告戦略研究
- 2022.03.21
- 広告・マーケティング事例
日本企業の努力の賜物ともいえる、バレンタイン市場。女性から男性へチョコを贈る文化が当たり前になったいま、チョコレートブランドはどのような戦略で市場創造を図っているのか。実際に展開された広告を紹介しながら考察していきます。
■ GODIVA:「自分バレンタイン」
2018年に実施され、一部界隈では大きな話題になった広告です。
「バレンタインを義務感や形式・慣習だから仕方なくやるものではなく、もっと自由に感謝や愛情を表現するイベントとして楽しんで欲しい。」という想いが込められています。(*1)
ゴディバは引き続き2021年に、バレンタインの主役は”貰う人”ではなく”あげるあなた”というコンセプトで「自分バレンタイン」広告を展開しました。バレンタインにチョコを贈る大切な人の一人に自分を入れてあげようという狙いです。「わたしにも、あげる。」というキーメッセージで提案しています。
■ ロッテ ガーナチョコ:「バレンタインのせいにして」
バレンタインをきっかけにして普段できなかったことをやってみたり、伝えられなかったことを伝えたりする“ポジティブ行動”が日本中で溢れてほしいという想いのこもった広告(2022年)です。(*2)
“友チョコ”や“ご褒美チョコ”“俺チョコ”など、バレンタインの捉え方や過ごし方が多様化してきた風潮を更に拡張し、より多くの人にバレンタインを楽しんでほしいという狙いが垣間見れます。
■ ブラックサンダー:「それもありでしょ?バレンタイン」
感謝や愛情を伝える方法は「チョコを渡す」だけではなく、もっと好き勝手に楽しんでいいのでは?という視点で展開されたのが、ブラックサンダーの「それもありでしょ?バレンタイン」広告(2022年)です。
これまでのバレンタインの常識を打ち壊すために、自由な発想のバレンタイン限定商品13種(下駄箱やマネキン、煮干しなど)を特設ECサイトにて販売しました。(*3)
■ ネスレ キットカット:「バレンタインポスト」
チョコレートという物自体が重要なのではなく、チョコレートを贈ることで生じるコミュニケーションこそが大切なんだというコンセプトで制作されたのがネスレのバレンタインポストキャンペーン(2017年~)です。
TwitterやLINEなどのSNSアカウントをバレンタインポスト(https://twitter.com/vpost_official)と連携させるだけで、SNS上の友達と仮想チョコを贈り合うことができます。
本物のチョコを贈るときの、贈る相手は喜んでくれるのか / ホワイトデーのお返しに気を使わせてしまうのではないか等のわずらわしさを感じることなく、バレンタインを楽しむことができる素晴らしいキャンペーンです。
■ まとめ
どの企業においても、コロナ禍の影響で1,310億円(2020年)から1,050億円(2021年)まで減少したバレンタイン市場(*4)をどう回復させるかをテーマに広告を企画していたことが分かります。
つまり、従来の「本命・義理チョコ」以外のシーンや市場を開拓することで新しい売り上げを創出しようという戦略です。
ゴディバ:自分チョコ市場開拓による需要創造
ロッテ・ブラックサンダー:本命/義理チョコ以外のカジュアルシーン開拓によるターゲット拡大
ネスレ:バーチャルバレンタインという新しいバレンタインの形を提唱
“良い企画には良い戦略がある”とは、まさにこのことですね!
実際、2022年のバレンタイン市場も1,175億円(21年比12%増加)まで回復しました。
今年はどんなバレンタイン企画が展開されるのか、ワクワクしながら2月14日を迎えたいと思います!!
参考
*1)https://withnews.jp/article/f0180205001qq000000000000000W00o10101qq000016741A
*2)https://mag.sendenkaigi.com/senden/202204/editors-pick/023658.php
*3)https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000024.000064626.html&title=prtimes.jp
*4)一般社団法人 日本記念日協会発表_バレンタイン推定市場規模
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